転職活動再始動2
年末年始休んだことはない。
社長と専務とK常務が年始のあいさつ回りで現場に顔を出した。
「あけましておめでとう。ことしもよろしく」と言いながら仕事中の従業員と挨拶をかわすのだ。私のセクションにもやってきた。社長御一行の総回診だ!
私のセクションはレストランでその時は宿泊いただいているお客様の朝食の時間。毎年ご宿泊いただく常連のお客様と挨拶をかわし新年を喜ぶ。
業務的には正月メニューでいつもと違うことやお客様の単価も高く品質も高いものを提供しなければならないというプレッシャー、連勤による疲労、いつ休めるかわからない不安と闘いながらの業務遂行だ。
そんな中での総回診。当時M支配人はびったり密着ごあいさつ!
笑顔で新年を喜び自社役員を丁重にもてなす。
その光景を見ていたお客様は何があったのかとどよめく。どんな重要人物が来ているのだろうかと。
常連のお客様から声をかけられた「いったい何があったの?あんなに支配人さんが丁重にお相手するなんて、どちらのお客様?」。
「いえ、あの、その」、、、答えられなかった。「当社の役員です」、、、
M支配人は年末年始に高い金額を払って泊まりに来てくださるお客様よりも大切で重要なのは自社の役員様なのだと背中で教えてくれた。
Y支配人が着任して体制が変わり良くも悪くも13人いた社員のうち6人が会社を辞めた。
各々の事情などがあるため一概にY支配人のみを責められないが、Y支配人在籍中に約半分の従業員が会社を辞めたという事実は事実である。
私にも同僚が相談してきたことがあった。「自分は以前のお客様を大切にする接客ができる状況の方が良かった。素敵な景観や景色、この観光地が好きでこの会社に入社したがK常務の「従わない奴は去れ」というような恫喝に近い命令は耐えられない。今の支配人(Y支配人)の元では仕事を続けられない会社を辞めようと思う。」と。
他の部署でも辞職の考えを持つ人もおり、このままではいけない、どんどん悪くなっていってしまうという恐怖や不安、怒りを募らせていった。
そんな中ふと新聞の記事を調理のパートのおじいさんに見せられた。
『部下の話に耳を傾けよう』という見出しで、パワハラについての内容だった。
私はY支配人にその記事を見せて「従業員の声に耳を傾けてください、このままではみんないなくなってしまいます。」と伝えた。
Y支配人は笑って「私にパワハラだって言いたいの?」と言った。
私は「いや、そういう事ではなくてY支配人が悪いとかではなく、みんなついていけなくなってしまいます。話を聞いてあげてください。」と返した。
なんとか改悪されていく会社の状況を食い止めたかった。
次の日私は休みで自宅にいた。知らない番号からの着信。電話にでた
「俺だ、」
「はい?」
「Kだ」
「え?」
K常務からの電話だった。
「Kだ、おまえY支配人にパワハラだって言ったそうだな」
「え!?いゃ」
「ふざけたこと言ってんじゃないぞ、おまえそんなこと言ってわかってんだろうな」
急に体中が熱くなりこわばったのを覚えている
「いや、違います、そうではなくて」
「お前今年の春先昇進させてやったが必要ないってことか?」
「待ってください、違うんです、聞いてください」
「なめたこと言ってんじゃねえぞ、上司にそんなこと言ってただでいられると思うなよ」
がちゃ。
もうパニックだった。終わった。と思ったのと、本当におかしい会社なのだと思った。
常務にあんなことを言われもう会社にはいられないだろう。今後家族はどうしたら、、
や、なんとしても今のおかしい状況を改善し会社を正常にしなければ、などいろいろな感情が浮かんできた。